魚嫌いの子供が食べやすい味付けや、調理と後片付けの手間を減らす骨取り魚などの活用法を紹介します。
「魚の日」とカレンダーに書き込むたび、心が重たくなっていました。
健康のために食べさせたい。その気持ちとは裏腹に、食卓に出すのはいつも塩焼きか、煮付け。
そして決まって聞こえてくる、子供の「またこれ?」という、うんざりしたような声……。
栄養バランスを考える責任感と、献立を考える苦痛の間で、板挟みになる日々でした。
ため息の食卓が、「おかわり!」に変わるまで
パートから慌てて帰宅し、夕飯の支度に取り掛かる。夫はまだ帰らない。今日は、カレンダーに丸をつけた「魚の日」。
冷蔵庫の切り身を見て、また憂鬱になるのです。
うちの子供たち、特に息子は肉が大好きで、魚は気分が乗らないと一口も食べてくれません。
食卓に出しても、骨を取るのを面倒くさそうにしたり、皮だけを残したり。
でも、本当のところ、私自身が魚料理を避けていたのかもしれません。
心の底から嫌いだったのが、魚焼きグリルの掃除でした。
網にこびりついた皮、トレイに落ちた油、そして庫内に残る生臭い匂い。あの後片付けを思うだけで、献立から魚を外したくなってしまうわけです。
かといって、育ち盛りの子供たちに肉ばかり出すことには罪悪感がある。
健康のために食べさせたい親の気持ちと、子供の「食べたくない」という現実。
X(旧Twitter)でも見かけたように、「健康のために頑張って魚を出すべきか」、それとも「無理せず子供が喜ぶ肉料理中心でいいのか」、その間で揺れ動くのは、私だけではないはずです。
私が「魚料理は面倒」を手放した3つの工夫
このままではいけない。そう思って、完璧に「正しい魚料理」を作ることをやめました。
優先順位を変えて、「どうしたらお互いが楽になるか」を考えることにしたのです。
工夫1:「骨の心配」をゼロにした
子供が魚を嫌がる大きな原因は、やっぱり「骨」でした。喉に刺さるのが怖いし、そもそも骨を取り除くのが面倒くさい。
そこで思い切って使い始めたのが、「骨取り魚」です。スーパーの冷凍コーナーや鮮魚コーナーに置いてある、骨が処理済みの切り身。
最初は「割高かな」とも感じました。
でも、私が食卓で骨を取ってあげる手間、子供の「怖い」という気持ち、そして万が一の心配。
子供の魚の骨による事故は、消費者庁の注意喚起などでも注意が促されています。
骨取り魚は、そうしたリスクを減らす意味でも安心だし、料理の手間まで考えると、むしろ安いとさえ思えました。
「骨がない」というだけで、子供は魚への警戒心を解いてくれる。そして私も「骨に気をつけて食べなさい」と見張るストレスから解放されたのです。
工夫2:味付けを「子供」に振り切る
私のレパートリーが塩焼きと煮付けだけだったのは、それが「魚料理の正解」だと思い込んでいたからでした。
でも、子供が喜ぶのは、結局「ご飯が進む味」。そこで、魚を「肉」と同じ食材として扱うことにしました。
我が家の定番になった「なんちゃって洋食」
タラのガリマヨ焼き
骨取りタラに、マヨネーズとニンニクチューブ、少しの醤油を塗ってトースターやフライパンで焼くだけ。マヨネーズが魚の臭みを消してくれるようで、子供も大好きです。
トースターを使う場合は、匂い移り防止のためアルミホイルを敷くのがおすすめです。
鮭のケチャップ煮
鮭を玉ねぎと炒め、ケチャップと少しのソースで味付け。ピーマンやコーンを入れても美味しいです。
サバ缶のピザ風トースト
これは究極の時短ですが、サバの水煮缶を使います。
サバをほぐし、玉ねぎと炒めてケチャップで味付け。それを食パンに乗せてチーズをかけて焼くだけ。
「サバ缶を使うので、見た目はまるでピザなのに、DHAやカルシウムといった魚 大切な栄養がしっかり摂れるのが嬉しいポイントです。
子供は『ピザだ!』と喜んでくれます。
[参考]お魚は栄養素の宝石箱! | 全国海水養魚協会
和食の枠にこだわらず、甘辛い味や、マヨネーズやケチャップといった洋風の味付けに振り切ったら、驚くほど「またこれ?」と言われなくなりました。
工夫3:魚焼きグリルを「卒業」した
そして、私にとって一番のストレス源だった、グリルの掃除。思い切って、グリルを使うのをやめました。
今の我が家の魚料理は、ほとんどがフライパンです。
フライパンで焼く時には、必需品があります。それは「クッキングシート」か「魚焼き用のくっつかないアルミホイル」。
これをフライパンに敷けば、皮がくっついてボロボロになることもないし、油も飛び散りにくい。何より、調理が終わったらシートを丸めて捨てるだけ。
さらに、フライパン調理の幅も広がりました。
特に冷凍の切り身を使う時は、クッキングシートを敷いたフライパンに魚を乗せ、少量の水かお酒を加えて蓋をして蒸し焼きにするのがおすすめです。
解凍の手間なく、パサつかずにふっくら仕上がります。
アルミホイルで魚と野菜、お好みの調味料(バター醤油や味噌マヨなど)を包んでフライパンに乗せ、少量の水を入れて蓋をして蒸し焼きにするホイル包み焼きも、洗い物がほとんど出ないので楽ですよ。
これなら大人用と子供用で味付けを変えるのも簡単です。
洗い物が劇的に楽になったことで「魚を焼くか…」という心のハードルが、本当に低くなったなんですよね。
食卓から「憂鬱」が消えた日
以前は、「子供の健康のために」という義務感だけで魚料理を作っていました。でも、その義務感が私を苦しめ、食卓の空気まで重くしていたような気がします。
骨取り魚に頼り、味付けを子供向けにし、グリル掃除から逃げた。
それは「手抜き」かもしれないけれど、その結果、子供が「これ好き!」と魚を食べるようになり、私も「明日のご飯何にしよう」と悩む苦痛から少し解放されたのです。
魚の日が、家族みんなにとって「面倒な日」ではなくなったこと。それが、私にとって一番の変化でした。
私の「献立地獄」との戦いの記録
この記事でお伝えした小さな工夫も、私を苦しめていた「ちゃんと作らなきゃ」という重いプレッシャーから自由になるための、大切な一歩でした。
でも、そんな私の苦しみの、一番の根っこにあったもの。それは「今日の夕飯、どうしよう」と毎日ゼロから考え続けなければいけない、あの「献立地獄」そのものだったんです。
このブログの根底にある「考えること」そのものを手放して心に余裕を取り戻す…という考え方。その原点であり、私にとっての「心の処方箋」となった物語が、ここに詰まっています。