ワンパン・ワンボウル調理の失敗談と、洗い物を減らす具体的なコツや調理法をまとめた体験記です。
食事が終わった後、シンクに積み重なった食器を見るのが、本当に苦手です。
パートから帰ってきて、慌ただしくご飯を作り、やっと食卓に座れた、と思ったのも束の間。食後には、あの「最後の仕事」が待っている。
油で汚れたフライパンと、山積みの食器…。
あの光景を前にした時の疲労感は、体験した人にしか分からない重さだと思うのです。
楽になるはずが、絶望を増やした「ワンパンパスタ」の夜
「洗い物が減る」という言葉に惹かれて、ワンパンパスタを試したことがありました。
雑誌で見た、フライパンひとつで完結する、あの魅力的なレシピです。
でも、現実は違いました。
麺はべちゃっとして、味はぼんやり。
一番ひどかったのは、フライパンの底にガチガチにこびりついたソースとチーズでした。
結局、金タワシでゴシゴシ擦る羽目に。
洗い物を減らすはずが、一番面倒な「こびりつき」という名の洗い物を、逆に増やしてしまったのです。
夫は何も言いませんでしたが「やっぱり手抜きに見えたかな」「美味しくなかったかな」という罪悪感だけが残る、苦い体験でした。
「ズボラ」ではなく「工夫」だった。失敗から学んだ調理法
あの失敗から、しばらくワンパン調理から遠ざかっていました。でも、やっぱり食後の負担は減らしたい。
もう一度だけ、何がダメだったのか向き合ってみることにしたわけです。
敗因1:パスタと「水加減」の罠
ワンパンパスタの失敗は、水の量でした。レシピ通りなのに上手くいかないのは、フライパンの大きさのせいだったんです。
- 私の失敗例:大きなフライパンを使ったため水分が蒸発しすぎ、麺に芯が残るか、慌てて水を足してべちゃっとなる。
- 解決策:あえて20cmほどの小さなフライパンを使うこと。フライパンが小さいと水分の蒸発が穏やかになり、パスタがソースの旨味をしっかり吸って、モチモチに仕上がりました。
- 小さなコツ:水は指定量より少し少なめに入れ、足りなくなったら足すようにすると、失敗しにくいようです。
敗因2:こびりつきと「調理器具」の相性
最大のストレスだった「こびりつき」。これはもう、道具に頼るのが一番でした。
SNSで「神フライパン」と呼ばれているものを見て、思い切ってテフロ ン加工のしっかりした深型フライパンに変えてみたのです。結果は、驚くほどスルンと汚れが落ちる。
あのゴシゴシ洗う時間がゼロになりました。道具が解決してくれるストレスは、道具に任せるのが正解だったんですよね。
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究極の「洗い物ゼロ」へ。「ワンボウル」という新境地
ワンパン調理に慣れてきた頃、私はさらに楽な方法を見つけました。
それが、耐熱ボウルと電子レンジだけで完結する「ワンボウル調理」です。
火を使わないので、コンロも汚れない。これが本当に画期的でした。
私がよく作るのは、こんなメニューです。(分量は2人分目安です)
レンジ麻婆豆腐
- 使う道具: 耐熱ボウル、電子レンジ
- 材料: 豚ひき肉150g、絹豆腐1丁(300g)、長ねぎ1/2本、[☆調味料:酒大さじ1、みそ大さじ1、砂糖小さじ2、しょうゆ小さじ2、豆板醤小さじ1/2〜1、おろししょうが小さじ1/2、おろしにんにく小さじ1/2、片栗粉小さじ2]、ごま油小さじ1、ラー油適量、細ねぎ(刻み)適量
- コツなど: 火を使わずに本格的な中華が完成。豆腐は水切りせず、加熱後に混ぜるのがポイント。一度冷ますと味が染み込みます。
レンジ肉じゃが
- 使う道具: 耐熱ボウル、電子レンジ
- 材料: 豚バラ薄切り肉100g、じゃがいも2個(300g)、玉ねぎ1/2個、にんじん1/3本、[☆調味料:水150cc、酒大さじ2、みりん大さじ2、砂糖大さじ1、しょうゆ大さじ3]、グリーンピース適量
- コツなど: 火を使わずに、味が染みた肉じゃがが完成。じゃがいもを小さめに切ると火が通りやすい。一度冷ますとさらに美味しくなります。
レンジでケチャップパスタ
- 使う道具: 耐熱ボウル、電子レンジ
- 材料: スパゲティ(1.6mm)200g、ウインナー4本、玉ねぎ1/4個、ピーマン1個、[☆調味料:水400cc、ケチャップ大さじ6、コンソメ小さじ1、塩こしょう少々]、バター10g、粉チーズ適量、パセリ(刻み)適量
- コツなど: パスタを別茹でする手間も、フライパンを洗う手間も不要。ワンボウルで完結します。加熱前にパスタを水にしっかり浸すのがポイント。
かんたん無限きのこ
- 使う道具: 耐熱容器、電子レンジ
- 材料: しめじ1袋、えのき1袋、[☆調味料:ツナ缶(オイル漬け)1缶(70g)、めんつゆ(3倍濃縮)大さじ1と1/2、ごま油大さじ1/2、おろしにんにく小さじ1/4]、白いりごま適量、細ねぎ(刻み)適量
- コツなど: にんにくとツナ缶でパンチのある副菜に。作った容器のまま食卓に出せます。きのこはお好みのものでOK。
鶏チャーシュー
- 使う道具: 耐熱ポリ袋(アイラップなど)、電子レンジ
- 材料: 鶏もも肉1枚(300g)、[☆調味料:醤油大さじ1.5、酒大さじ1、みりん大さじ1、砂糖大さじ1、オイスターソース大さじ1/2、おろし生姜チューブ3cm、おろしニンニクチューブ3cm]
- コツなど: レンジ加熱後、そのまま寝かせるだけ。まな板も包丁も汚れません。ポリ袋に入れる前に鶏肉の厚みを均一に開いておくと、火の通りが良くなります。
特に耐熱ポリ袋(アイラップなど)は、下味をつけるボウル代わりにも、そのままレンジ加熱する調理器具代わりにもなる。使い終わったら捨てるだけ。
最初は「手抜き」に見えることへの罪悪感がありました。
また夫に「美味しくない」と言われたらどうしよう…、見た目が貧相でガッカリされたら…と、家族の反応が怖かったのです。
でも、この方法で作った鶏チャーシューを家族が「美味しい」と食べたとき、これは手抜きではなく「家族のために、自分の余裕を作る工夫」なのだと、考えが変わったのです。
フライパンを磨く手を止めて、見つけた「食後の10分」
以前は、食事が終わるとすぐに「洗い物をしなければ」と戦闘態勢に入っていました。ワンパン調理に失敗した夜は、こびりついた鍋を前に、ただただ疲弊していたものです。
今は、ワンボウル調理のおかげで、食後にシンクが空っぽの日も増えました。あの解放感は、本当にすごい。
空いた10分。たった10分ですが、その時間で子どもと話したり、一人で温かいお茶を飲んだりできる。
ゴシゴシと鍋を磨いていた時間を、自分の心を満たす時間に変えられたこと。それが、私にとって一番大きな変化だったような気がします。
私が「完璧」を手放す、始まりの物語
この記事でお伝えした工夫も、私を縛っていた「ちゃんとしなきゃ」という思い込みから自由になるための、大切な一歩でした。
でも、そんな私が「完璧でなくてもいい」と自分自身を許せるようになる、その一番最初のきっかけをくれたのが「野菜の皮むき」という、たった一つの家事を手放した日のことだったんです。
この記事の根底にも流れている、私の「手抜きは愛情表現」という考え方の原点が、ここに詰まっています 。