特売肉でも「ごちそう」は作れる。私が「かさ増し」の罪悪感を手放し、家族の「美味しい」を取り戻した節約レシピ

特売肉でも「ごちそう」は作れる。私が「かさ増し」の罪悪感を手放し、家族の「美味しい」を取り戻した節約レシピ

特売肉を柔らかくする下処理や、罪悪感のない「かさ増し」食材の活用法をまとめた体験記です。

物価高が続く毎日。スーパーで特売肉のパックを手に取ることが、いつの間にか当たり前になっていました。

でも、その選択が食卓の重苦しい空気につながるとは、その時は思いもしなかったのです。

「またこの肉?」食卓に漂う罪悪感と、私が見つけた特売肉の可能性

パートから帰り、慌ただしく夕飯の支度をする日々。

食費を抑えようと買った特売の豚肉や輸入肉は、どう調理してもうまくいきませんでした。

夫からは「今日の肉、硬いし臭みがある」と不機嫌な顔をされ、子供たちも箸が進まない。そのたびに「ごめんね、安いお肉で」と心の中で謝るのです。

家族に満足感を与えられていない…。

その罪悪感を打ち消したくて、豆腐やもやしで必死にかさ増しを試みるものの、今度は「肉が少ない」と不満の声。

食卓が全体的に茶色く、貧相に見えること。節約が「貧乏くさい食事」を家族に強いているようで、虚しさが募るばかりでした。

節約はしたい。でも、家族には美味しいものを食べさせたい。

この葛藤から抜け出す道はないかと、調理法そのものを見直すことにしたわけです。

私が「ごまかし」の罪悪感から抜け出した、3つの調理法

特売肉が美味しくないのは、肉のせいだけではなく、私の調理法にも原因があった。

そう気づいてから、いくつかの工夫を取り入れました。

1. 下処理の工夫。「硬い・臭い」を「しっとり」に変える

まず取り組んだのは、安価な肉の難点である「硬さ」と「臭み」の解消です。

「ブライン液」という塩水漬けの方法

水に塩と砂糖を溶かした「ブライン液」と呼ばれる塩水に、鶏むね肉などを漬け込む方法です。

塩と砂糖が肉の水分を保ってくれるそうで、パサつきやすいお肉が驚くほどしっとり柔らかくなることを知りました。

作り方は簡単で、水100mlに対して塩5g(小さじ1)、砂糖5g(小さじ1強)を溶かすだけ(塩分濃度5%)。

鶏むね肉なら1〜2時間ほど漬け込むと効果的です。

発酵食品と酵素の力

塩麹やヨーグルトなどの発酵食品、あるいは、すりおろした玉ねぎや舞茸。

これらに含まれる「酵素」という成分が、お肉のタンパク質を分解して、柔らかくしてくれるそうです。

[参考]塩麹などの発酵調味料は、なぜ肉をやわらかくする?|Webマガジン「発酵美食」|マルコメ

安いお肉ほど、このひと手間で味が変わるのを実感しました。

例えば、舞茸なら細かく刻んでお肉と一緒にポリ袋に入れて揉み込み、30分ほど置くだけ玉ねぎや生姜ならすりおろして漬け込みます。

発酵食品の塩麹も、塗って置いておくだけで驚くほど柔らかくなりますよ。

丁寧な筋切り

当たり前のことですが、お肉の繊維を断つ「筋切り」も、以前より丁寧にするようになりました。
特に豚ロースなどは、焼いたときに反り返ってしまうのを防ぐだけで、火の通りが均一になり、食感が良くなった気がします。

2. 「バレない」かさ増し食材。主役は「きのこ類」

罪悪感の源だった「かさ増し」も見直しました。

問題は「かさ増し」自体ではなく、「バレること」、そして満足感が下がることだったのです。

X(旧Twitter)の投稿でも、豆腐やもやしは水っぽさや食感でバレやすい一方、「きのこ類」はバレずにボリュームアップできると人気でした。

私の定番、刻みえのきと豆腐ハンバーグ

えのきやしめじを細かく刻んで肉だねに混ぜ込みます。

この「細かく刻む」作業、包丁だと地味に大変ですが、フードプロセッサーを使えば一瞬で終わるのでおすすめです。

玉ねぎのみじん切りも一緒にできるので、ハンバーグ作りのハードルがぐっと下がりました。

食感が肉に近いためか、家族は気づかずに「美味しい」と食べてくれます。

以前は水っぽくなって失敗していた豆腐ハンバーグも、豆腐をしっかり水切りしてから、パン粉の代わりに入れることで、少ないひき肉でもふわふわに仕上がるようになりました。

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3. 「愛情」への考え方。節約と満足感の両立

一番大きかったのは、考え方の変化かもしれません。

安い肉でも、焼き方を少し意識する。

例えば、お肉は焼きすぎると硬くなりますが、それは中心温度が上がりすぎて(65℃以上)、肉汁が外に出てしまうからだと知りました。

とはいえ、毎回温度計で測るわけにもいきませんよね。加熱しているお肉の表面に、うっすらと透明な肉汁が浮き上がってきたら、それが65℃に近づいたサインだそうです。

焼きすぎを防ぐ、良い目安になります。それからは、火加減を慎重に見るようになりました。

これは「手抜き」じゃない、「愛情」なんだ

Xで「かさ増しは手抜きじゃなくて愛情!」という言葉を見かけた時、すとんと腑に落ちたのです。

これは「ごまかし」や「手抜き」ではない。家族に美味しく、お腹いっぱい食べてもらうための「工夫」なのだと。

そう捉え直してから、調理のストレスが不思議と軽くなりました。

罪悪感が消えた食卓で、気づいたこと

今も特売肉ときのこ類は、我が家の食卓の強い味方です。けれど、以前のような罪悪感はありません。

ブライン液に漬けた鶏むね肉を「柔らかいね」と夫が食べ、えのき入りのつくねを子供たちがおかわりする…。その光景が、少しずつ私の自信になりました。

家計簿アプリで、食費が具体的に浮いてきたことも嬉しいですが、何より食卓からあの重苦しい空気が消え、心に余裕が生まれたことが一番の変化だったような気がします。

節約は、我慢ではなく、知恵と愛情の見せどころだったのです。

私の「献立地獄」との戦いの記録

この記事でお伝えした小さな工夫も、私を苦しめていた「ちゃんと作らなきゃ」という重いプレッシャーから自由になるための、大切な一歩でした。

でも、そんな私の苦しみの、一番の根っこにあったもの。それは「今日の夕飯、どうしよう」と毎日ゼロから考え続けなければいけない、あの「献立地獄」そのものだったんです。

このブログの根底にある「考えること」そのものを手放して心に余裕を取り戻す…という考え方。その原点であり、私にとっての「心の処方箋」となった物語が、ここに詰まっています。