雑巾の洗浄ストレスと使い捨ての罪悪感を、古着ウエスやキッチンペーパーの活用で解消した体験記です。
家事を効率化しようと洗剤の種類を減らし、ボトルをシンプルに統一したとき、私はひとつ、大きな見落としをしていました。
それを拭き取る「雑巾」の存在です。
コンロ周りを拭けば油でベトつき、床を拭けば食べこぼしが絡みつく。
使った後の雑巾は、すぐに洗わなければ、あの嫌な「雑巾臭い」と呼ばれる臭いを放ち始めます。
洗っても残るヌメッとした感触…。本当にきれいになったのか不安になり、自己嫌悪に陥る。
かといって、キッチンペーパーで拭いて捨てるのは、どうしようもない「罪悪感」がありました。
「もったいない」という、たった一言の呪縛でした。
「洗う」から「使い切る」へ。私の掃除が変わった日
清潔さを保つための掃除道具が、一番の不衛生の元になっている。この矛盾が、私にとって大きなストレスになっていたのです。
使い古したタオルを雑巾におろそうと決めたこともありました。でも、洗うのが面倒だから、結局使うのをためらってしまう。
結果、カゴの中には「まだ新し目の雑巾」だけが溜まっていくという、おかしなことになっていました。
臭いが出るたびに重曹で煮沸消毒を試したり、漂白剤につけ置きしたりもしました。
厚生労働省のサイトを見ても、ふきんの衛生管理には煮沸や漂白剤が推奨されています。
でも、その「正しい」はずの手間をかけても、またすぐに戻ってくるあの臭い……。
あの「雑巾臭さ」は、洗っても落ちない雑菌(モラクセラ菌というそうです)が原因だと知ってからは、余計に「本当にきれいになったのか」という不安が募るばかり。
掃除そのものより、掃除道具を管理する手間に、心が疲弊していったような気がします。
あの「雑巾臭さ」さえなければ…。使った後に洗う工程さえなければ…。
掃除へのハードルは、もっと下がるはずでした。
[参考]厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」※ふきんの漂白剤や熱湯消毒について言及あり
「掃除道具の管理」という名の家事
私を縛っていた「もったいない」の呪縛
私を一番苦しめていたのは、キッチンのコンロ周りでした。
油ハネを拭き取るのに、キッチンペーパーを何枚も使う。そのたびに「ああ、もったいない…」と心がチクリと痛むのです。
- この罪悪感があるから、掃除を後回しにする。
- 後回しにするから、汚れがこびりつく。
- そして、ますます掃除が億劫になる。
まさに悪循環でした。
きっかけは「洗えるキッチンペーパー」
そんな時、お店で「洗えるキッチンペーパー」というものを見つけました。不織布でできていて、紙よりもずっと丈夫。
これを台ふきん代わりに使ってみることにしたのです。
食器を拭いたり、テーブルを拭いたり…。汚れたら水で洗って、数回は繰り返して使えます。
そして、最後にコンロ周りのひどい油汚れを拭き取り、そのままゴミ箱へ。
これなら「使い捨て」への心理的なハードルが、ぐっと下がりました。「洗う」と「捨てる」の中間にある、ちょうどいい選択肢だったわけです。
関連記事この「洗えるキッチンペーパー」との出会いが、私の中の「もったいない」という呪縛を解く、最初のきっかけになってくれたんです。
「使い捨て」は手抜きじゃない。キッチンペーパーと保存袋への罪悪感を手放し、「時間を買う」と決めた日
「ウエス」という、罪悪感のない選択肢
着古したTシャツが掃除のエースに
「洗えるキッチンペーパー」のおかげで「捨てる」ことへの抵抗感が少し和らいだ頃…。
私は、もう着られないヨレヨレの子供のTシャツを眺めていました。
これだ!と思ったのです。
いわゆる「ウエス(使い捨て雑巾)」です。
特別なことは何もありません。
ヨレヨレになった子供の綿のTシャツや、ゴワゴワになった古いタオル。吸水性が良い素材がエースです。
これを、ただハサミで手のひらサイズにカットするだけ。ミシン掛けも不要でした。
タオルなら、ハサミで少し切り込みを入れれば、あとは手で一気に裂くと、糸くずが出にくくて楽ちんなんですよね。
逆に、フリースみたいな水を吸わない素材は、ウエスにはあまり向いていないようでした。
ウエスを「使う場所」に置くだけの仕組み
カットしたウエスは、小さなカゴに分けました。そして、それを「使う場所」に置くことにしたのです。
- キッチンのコンロ脇
- 洗面所の棚の上
- 玄関の靴箱の上
掃除道具は使う場所の近く、手の届くところに置く。ただそれだけで、掃除は「後回し」から「見つけた瞬間にやる」ものに変わっていきました。
ウエスが活躍する、厄介な場所
このウエスが、本当に力を発揮するのは、雑巾を洗うのが憂鬱になるような厄介な場所でした。
- キッチンの油汚れ:コンロ周りや換気扇の油ハネ。今までは洗剤をつけた雑巾で拭き、その雑巾をベトベトのまま洗うのが苦痛でした。今は、ウエスで拭き取って、そのまま捨てるだけです。
- 床の汚れ:子供の食べこぼしや、雨の日の泥汚れ。
- 衛生面が気になる場所:排水溝のぬめりや、トイレの床掃除。
「洗う」という工程がなくなっただけで、掃除のモチベーションが驚くほど上がったのです。
SNSを見ていると「使い捨てシートにしたら掃除が楽しくなった」「汚くなったら躊躇なくポイできるのが最高」という声を見かけることがありますが、私のウエスもまさにそれでした。
雑巾がなくなった日、心が軽くなった
私の家から、「雑巾を洗う」という家事が消えました。
煮沸消毒もしないし、漂白剤のキツイ臭いに耐えることもなくなりました。
あれほど私を苦しめていた「もったいない」という罪悪感…。
それは、古着を「ウエス」という形で最後まで使い切ることで「捨てる」という痛みではなく「ありがとう、さようなら」という、前向きな「納得感」に変わっていったような気がします。
掃除道具の管理をゼロにする。
それは、家事のタスクが一つ減ったという以上に、日々の「どうしよう」という迷いや、小さな自己嫌悪から解放される、大きな一歩になってくれたのです。