子供へのインスタントラーメン、罪悪感と栄養の悩み。私が「手抜き」を「賢い調整」に変えた思考の転換

子供へのインスタントラーメン、罪悪感と栄養の悩み。私が「手抜き」を「賢い調整」に変えた思考の転換

子供へのインスタントラーメンの罪悪感を、思考の転換と工夫で解消した体験談。

パートから帰宅し、玄関にカバンを放り投げる。18時。今からご飯を作る気力が、私にはもう残っていませんでした。

キッチンに漂うインスタントラーメンの匂い…。その匂いを感じるたび、胸の奥がチクリと痛む。

それは、忙しさを言い訳に「ちゃんと」できなかった自分を責める、罪悪感の匂いでもありました。

私に「調整」という知恵をくれた、あの夜

扶養内パートとはいえ、繁忙期はフルタイムと変わらない出勤が続きます。夫は帰りが遅く、家事育児のタスクは、そのほとんどが私の肩にありました。

疲れ果てて帰宅したある日。「今日、ラーメンがいい!」という子供たちの無邪気なリクエスト。

一瞬、頭をよぎるのは、スーパーのお惣菜やお弁当。でも、それも続くと飽きるし、食費もかさみます。結局、私は戸棚からインスタントラーメンの袋を取り出しました。

せめてもの抵抗で、冷蔵庫の半端な野菜をかき集め、野菜炒めにして乗せる。それでも「栄養ゼロ」「体に悪い」というイメージが頭から離れないのです。

「ごめんね、今日はラーメンで…」 そう呟きながら食卓に出したあの日…。

美味しいと喜ぶ子供たちの顔を見ながら、心の中では「また、ちゃんとできなかった」と、自分を責め続けていたのでした。

「インスタントラーメン=悪」の呪いを解いた、小さな発見

このままでは、私が潰れてしまう。 でも、子供たちの栄養を考えると、手を抜くこともできない。

その葛藤の中で、私はまず、自分が抱える罪悪感の正体と向き合うことにしました。

罪悪感の正体は「完成品」という思い込み

私が苦しかったのは、インスタントラーメンを「それ単体で完結した、不健康な食事」という完成品として捉えていたからなのだと気づきました。

だから、どれだけ野菜を乗せても、それは「気休め」や「免罪符」にしかならず、根本的な罪悪感は消えなかったわけです。

視点を変える。「栄養補給のベース」として捉え直す

もし、インスタントラーメンが「完成品」ではなく、お米やパンと同じ「主食(炭水化物)」であり、栄養を追加するための「ベース(土台)」だとしたら?

そう考え方を変えた瞬間、私を縛り付けていた呪いが、ふっと軽くなるのを感じました。

これは「手抜き」なのではなく、忙しい日に最低限のリソースで栄養バランスを整えようとする「賢い調整」なのだと。その小さな発想の転換が、私を具体的な行動へと導いてくれたのです。

「ベース」なのだから「ちょい足し」で変えればいい

インスタントラーメンを「栄養補補給ベース」と決めてから、私の気持ちは少し楽になりました。

まず試したのは、栄養の「ちょい足し」です。 これまで「気休め」だと思っていた野菜も、堂々と「栄養補給」として加えることにしたのです。

たとえば、たんぱく質。

  • 一番手軽なのは、やっぱり卵。かき玉にしたり、落とし卵にしたり。
  • 包丁いらずのサラダチキンやツナ缶、冷蔵庫に余っていたカニカマやちくわも、立派な具材になりました。

ビタミンや食物繊維も。

  • 最強のパートナーは、冷凍野菜でした。カットされた冷凍ほうれん草やコーン、ミックスベジタブルは、本当に楽です。
  • カットわかめや、とろろ昆布も大活躍しました。

「ラーメンストック」(野菜や肉をあらかじめカットして冷凍しておく)も試してみたところ、インスタントラーメンを作る罪悪感は、むしろ「冷凍ストックを消費する達成感」に変わっていきました。

気になっていた「塩分」と「脂質」も、ひと工夫

栄養を足しても、やはり気になるのが塩分と脂質です。これについては、調理法で工夫してみました。

スープは全部飲まない(飲ませない)

スープには塩分と脂質の多くが凝縮されています。 子供たちには「スープは半分までね」と声をかけるか、あらかじめ器に注ぐスープの量を減らしています。 これだけでも、塩分摂取量は大幅にカットできると知りました。

袋麺は「麺の茹で汁を捨てる」

これは少し手間ですが、効果的でした。麺を茹でたお湯を一度捨て、別のお湯でスープを作る。これで、麺に含まれる余分な塩分や油分を取り除くことができます。

余計な塩分や油分を取り除くことで、スープに雑味がなくなって美味しくなります。

「ノンフライ麺」を選ぶ

スーパーで買うときに、少しだけ裏の表示を見るようになりました。 ノンフライ麺を選ぶだけで、脂質はかなり抑えられます。

食べる順番も「具から先に」

これは私自身のダイエット知識からの応用でした。 それは「具から先に食べる」というルールです。

追加した野菜やたんぱく質(具)から先に食べ、最後に麺を食べる。こうすることで、血糖値の上昇が緩やかになり、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できるそうです。

子供たちにも「お野菜から食べようね」と声をかけることで、罪悪感は「健康的な食習慣を教えている」という前向きな気持ちに変わっていきました。

「完璧」を手放した日、食卓はもっと温かくなった

インスタントラーメンを出す日が、ゼロになったわけではありません。相変わらず、疲れ果てて何もできない日はやってきます。

でも、あの日のような自己嫌悪に陥ることは、もうなくなりました。

食卓に並ぶのは「手抜きのラーメン」ではありません。 それは、冷凍野菜と、卵と、わかめが加わった今の私が用意できる最大限の栄養調整ごはんです。

子供の頃、母が作ってくれたインスタントラーメンに、なぜか必ず野菜や卵が入っていたことを思い出します。当時はそれが少し鬱陶しかったけれど、今なら分かる。

あれは手抜きではなく、紛れもない「愛情」であり「賢い調整」だったのだと…。

「ちゃんと」の呪いから解放され、完璧な一食を目指すのをやめました。

以前、どこかの栄養コラムで読んだ「栄養バランスは、数日単位で『ツジツマ』を合わせればいい」という言葉。

[参考]ツジツマシアワセとは? - ツジツマシアワセ

あの日はラーメンだったから、次の日は野菜たっぷりの煮物にする。そんな風に、全体のバランスで考えるようになってから、私の心は驚くほど軽くなったのです。